千葉の鋸山で10年以上ぶりに登山
クマのニュースが世間を騒がせている。
市街地に出るクマをアーバンベアと呼ぶそうだが、アーバンベアもマウンテンベア(アーバンベアの反対語わからん)もいない県があるらしい。
千葉県である。専門家によれば、千葉県は本州で唯一クマが出没していない、過去にもクマの化石や遺体は見つかっておらず、生息した証拠が無いという。広大な関東平野や三方を海に囲まれた地形がクマの侵入を防いでいるらしい。
ちまたでは、もはやあそこは陸の孤島だとか、県境が川であることから実は本州と繋がっていないリアル島だとか、耳を疑う噂がささやかれているとかいないとか。。
そんなわけで、初めて関東平野に感謝しつつ、熊鈴無しのノーガードで登山を楽しんできた!
当日は晴天、最高気温18度、絶好の行楽日和である。
最寄りのJR浜金谷駅で学生時代の友人たちと待ち合わせる。

鋸山(のこぎりやま)は千葉の富津市と鋸南町の境にある標高約329mの低山。東京で人気の高尾山(標高約599m)より低く、ロープウェーという最終切り札も兼ね備えた、老若男女に愛される山である。たぶん。
最後に山を登ったのはいつだったか、もう思い出せない。
ちなみに登山は高尾山数回と富士山1回(死にかけた)の初心者である。
そんな自分がアラフォーにして10年以上ぶりに山を登ろうと思った理由だが、自分でもよくわからない。夏に久々に再会した学生時代の友人とのおしゃべりが楽しくて、よかったら今度山登らない?と、今度お茶しない?的なノリで口走ったような気もするが、、気づいたら浜金谷の駅に立っていた。(そんなわけあるか´Д`)
まぁあえて言うなら、そこに山があるから。(だまれ)

登山コースは産業遺産巡りコース(中級レベル)を選択。片道約2.6㎞、90分(見学時間は含まず)の道のり。
マップルート:「A」→「B」→「E」→「D」→「C」→「日本寺北口」→「ロープウェー山頂駅」
ロープウェーだと!?と目を疑ったみなさん、ご安心ください。ロープウェーは最終手段。コースにあるから書いただけで、それで降りると決めたわけではありません。
登り始めて早々に息切れしてきた。
高尾山より低いので正直なめてたんだが、意外に傾斜がきつく、車力道ルート(「B」→「E」)は足元が不安定で滑りやすい箇所も。登山靴をはいて正解だった。
登山は気温や天候の変化で脱ぎ着しやすい重ね着がよいと知って、Tシャツ、パーカー、ユニクロのウルトラライトダウンでばっちりレイヤリングしてきたんだが、1つだけ大失敗が。。
ヒートテックのインナーとレギンスを着てきてしまったことだ。
11月の登山が初で、山頂で寒いと嫌だなと着てきたのだが、これが暑いのなんの。
一刻も早くレギンスを脱ぎたかったが、千葉の山にはクマはいないがヘンタイがいると新たな噂が立つのも忍びないので我慢。その結果、ひとりTシャツで登るはめに。
首からタオルをぶら下げ、もはや猟友会の人顔負けの貫禄である。(いや猟友会の人も長袖だから´Д`)
汗冷えもするし、登山にヒートテックのインナーはまじおすすめしません。ただウルトラライトダウンは軽くて脱ぎ着しやすくて大正解だった。
”石切り場跡”で鋸山の歴史に触れる
鋸山は切り立った岩肌が特徴で、山頂付近がまさにノコギリの歯のようにギザギザしていることから名づけられたそう。かつては房州石の採石産業が盛んで、産業遺産巡りコースには石を切り出した跡が多く残る。
切り通し跡
石材や石のくずを搬出するために岩壁を切り抜き作った道。


奥へ進むと行き止まり。垂直にそびえたつ岩壁に静かに圧倒される。

房州石は加工しやすく耐火性に優れていることから、建築用石材として横浜港や靖国神社、早稲田大学など様々な場所で利用され、日本の近代化に貢献。
しかしコンクリートの普及などで徐々に衰退し、採石は昭和60年で終了したとのこと。
石切り場跡(観音洞窟)
階段状の掘り残しは、崩落防止のためとも。壁面には名前の由来でもある小さな観音が刻まれているそうだが、見つけられず。

石切り場跡(岩舞台)
昭和60年まで採石を続けた最後の石の元締めである芳家石店の石切り場跡。
舞台のような開けた場所があり、実際にコンサートが開かれたこともあるそう。
岩壁に刻まれた「安全㐧一」の文字。かつての光景に思いをはせる。


気づけばだいぶ登ってきたなとしみじみ。が、正直頭の中はレギンス脱ぎたいでいっぱい。(景色に集中しろ´Д`)
岩壁が天高くそびえる景観は『天空の城ラピュタ』を連想させ、実際に「ラピュタの壁」と呼ばれるスポットも。個人的には軍艦島の廃墟にも似た雰囲気を感じた。行ったことないけど軍艦島。(なんやそれ)
山頂の日本寺で地獄のぞきと大仏観光
登り始めて約2時間で「日本寺北口」に到着。
意外と険しかった山道を乗り切った自分を褒めたい!
拝観料700円を払って日本寺へ入ると、巨大な百尺観音像がお目見え。

はやる気持ちを抑え、今回の目玉の一つ・地獄のぞきを目指す。
正直苦しい道はもう終わったと思っていた。
だが何段もの石段が私の前に立ちはだかる。一瞬ひるむも、足場の悪い山道に比べればなんのその、と自らを鼓舞して登ってゆく。
ようやく到着~! 横から見ると、突き出た岩の先端がまるで宙に浮いているよう。

人気スポットかつ週末のお昼時なので、この先端に行くまでは15分程並ぶ。
崖の向こうには山と海が近い鋸山ならではの絶景が広がっていた。

お次はもう一つの目玉の大仏へ。
岩壁に直に彫刻された石仏(磨崖仏・まがいぶつ)で、坐像で総高31.05mは日本一の高さ。なんと鎌倉や奈良の大仏よりはるかに大きい。
今度は延々と下りの階段が続く。山の斜面にある寺の境内は広くて階段だらけ。
と、ここでついにヒザが笑い始める。上りより下りのほうが足にくるのは本当だった。
階段を降り切った所にあるベンチで小休憩。
やや体力回復し、よし行くぞと立ち上がった瞬間に再び笑いだすヒザ。何がそんなに可笑しいのか。
あまり意識しない方がいいんじゃない?と友人。意識するから余計に笑うんじゃない?と。
そうか、そんなに笑いたければ勝手に笑ってろと突き放せばいいのか。
でも放置されたヒザはその後どうなるのかしらん? 大笑いに発展して、笑い崩れたりするのかしらん?(終わりやん´Д`崩れたら)
一抹の不安を抱えて参道を進む。平坦な道がこれほど有難かったことはない。

こちらは薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)という人々を病から救う仏様で、左手に持っているのは薬壺だそう。
お参りもそこそこにお菓子休憩&ランチの戦略会議。大仏広場はベンチとテーブルがけっこうある。
山頂には食堂もあるようだが、せっかくなら下山して美味しい海鮮を食べようとなった。
残された力を振り絞り、さっき下りてきた階段を上がる。地獄のぞきなんかよりよほど地獄である。
周囲には軽装の人やワンコ連れもちらほら。車やロープウェーで登ってきた輩である。中にはゴスロリの人まで。(!?)
な、なめんなよ、こっちは自力で登ってきたんやぞ、と半袖&首からタオルで謎に対抗。が、意外と健脚なのかスイスイ階段を上がってゆくゴスロリ。なんだこいつ、実は登山家か何かなのか? はぁはぁ。まぁこっちは2時間登山してきたからな。はぁはぁ。それがなければ、はぁはぁ、こんなチャラい格好したやつに、はぁはぁ、負けるわけ、はぁはぁ…。
美味しい海鮮でご褒美タイム
あぁそうだよ。乗ったさ。乗ってやったさロープウェーに。
めっちゃ楽だったー。片道650円、たった4分で下山。ちなみに小型犬はゲージやバックに入っていれば乗れるみたい。
寺内は階段が多く、ロープウェーからの道も舗装されてない山道が一部あるので、登山しない人も運動靴と動きやすい恰好がおすすめ!
ロープウェー駅から10分ほど海沿いを歩き、フェリー乗り場近くの金谷食堂へ。
14時を少し過ぎたところだが、入店まで5分ほど待つ。
店内はザ・港の食堂という感じで、たくさん色紙も貼られていた。有名店のようだ。
私は海鮮の三色丼を注文。

なめろう(右)が想像以上の美味しさ。知らなかったが、なめろうは千葉県房総半島の郷土料理らしい。
ネギトロ(左)も旨すぎる。
友人らはフライの定食を。

黄金アジというブランドアジで、これがまた旨いのなんの。
外サクサク、中ふわふわ(ちょいレア)で、アジフライの概念が覆される。これを食べるためだけに再訪したいくらい。
電車の時間までは、浜金谷駅前のSANGA Soba&Coffee STANDで一服。アイスコーヒー片手に一日を振り返るこの時間が幸せ。

こんな有意義に休日を過ごしたのはいつぶりだろう。
山の綺麗な空気を吸い、良い運動をして、絶景を眺め、旧友との仲も深まり、美味しいごはんも食べ、もはや言うことなし。
むろん歩き疲れてお尻から下は鈍い痛みが。だがデスクワークの疲れとは違い、どこか心地よく誇らしくもある。
え?体力づくりのためのインターバル速歩は効果あったのかって?
正直よくわからん。まだ始めて1ヶ月ちょいだし。。ただ本日嫌というほどアップダウンを経験し、しょせん平坦な道でのトレーニングには限界があると感じた。(えらそうに´Д`)
でも翌日は壮絶な筋肉痛を覚悟していたんだが、意外と大したことなかった。
もしかしたらインターバル速歩のおかげかもしれない。
帰りに浜金谷駅で見た綺麗な夕日を思い出し、絶対にまた行こうと心に誓った。

※参考・引用サイト:
・産経ニュース
『「クマいない」千葉県にアウトドア客も注目 三方が海 小さな森林…条件重なり生息せず』
・TBS NEWS DIG
『千葉はクマなし県?!なぜ?「クマよけ対策は何もない」観光地・鋸山を取材』
・鋸山復興プロジェクト
『登山ルート Nokogiriyama Trailway』
https://nokogiriyama.jp/information/trailway/
※上記から登山マップのダウンロード可能
・ちば観光ナビ(by公益社団法人 千葉県観光物産協会)
『絶景と歴史が詰まった鋸山!ロープウェーと登山の魅力を徹底解説します』
『鋸山 日本寺(地獄のぞき)』
・富津市サイト(by富津市役所)
『日本遺産候補地域「鋸山」ストーリーと主な構成文化財』
・WONDER!NOKOGIRIYAMA(by金谷地域農泊推進協議会)
『日本遺産候補認定! 産業遺産「鋸山」の魅力とは?』
・鋸山 日本寺 公式サイト
・Japan Travel Planner(by ANA)
『千葉県鋸山日本寺 日本一の石製大仏座像など豊富な見どころ』