くるみの庭 ~ちょっとここらで深呼吸~

パニック障害を経験した筆者が、病気や人生のこと、心身の健康のために取り組んでいることを発信。

パニック障害経験者が『夜明けのすべて』を観て感じたこと

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映画『夜明けのすべて』の正直な感想

PMS月経前症候群)で月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんと、パニック障害を患う山添くんの物語。ともにそれが理由で前職を辞めた2人が、栗田科学という町の小さな会社で働きながら、仕事や将来のこと、それぞれが抱える不調や苦しみと向き合ってゆく。
当事者としてパニック障害がどんなふうに描かれているのか興味があり、前から観たいと思っていたところ、なんと今月9日から各配信サービスで見放題配信されてるらしい!
早速アマプラで観てみた。ネタバレするつもりは毛頭ないし、細心の注意を払うが、結果ネタバレになっていたかもという部分はありやなしや。。(どっちだよ´Д`)

まずは2人の症状の描かれ方について。
私も生理前はイライラしがちなのでPMSかと思っていたが、藤沢さんを見てここまで症状が重い人がいることを知って驚いた。自分は軽い方かもしれない。
正直あまり彼女には感情移入できなかったが、山添くんのパニック障害の描かれ方は当事者目線でも違和感がなく、共感できた。例えば、山添くんが電車に乗れない、外食できない、美容院に行けない、家の中だと発作が起きないところとか。。
後で調べたら原作者の瀬尾まいこ氏もパニック障害経験者らしく、あぁ道理でと腑に落ちた。
山添くんが電車に乗ろうとするも乗れずにホームでしゃがみこんでしまうシーンがある。
私も一番ひどかった時は電車に乗れず、ホームのベンチで30分やり過ごしたことがあった。
満員電車ではない、ガラガラに空いている。でもどうしても乗ることができないのだ。
今乗れば確実に発作が起こる気がする。そうなればどこにも逃げ場はなく、次の駅まで耐えなければならない。もし吐いたら?倒れてしまったら?そんな不安や恐怖がかけ巡り、一歩も動けなくなる。
この時のもうどこへも行けないような絶望感と孤独。本当に自分の体はどうしちゃったんだろうという戸惑いとショック。
あのシーンを観た時に、それら全てを思い出した。

今作は何か大きな事件が起きるわけでもなく、2人の症状が劇的に良くなるわけでもない。
発作やら気分の浮き沈みやらはあるが、あくまで淡々と日常が続いていく。それが作られたものではないリアルさを感じさせる。
作中には2人の他にも心に傷や痛みを抱えた人物が登場する。病名はなくても目に見えなくても、程度の違いはあれ、人は誰しも生きづらさを抱えているのかもしれない。
初めはそりの合わなかった2人が、次第に自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと考えるようになり、友情でも恋でもない何か同志のような気持ちが芽生えてゆく。
自分一人ではどうしようもないもどかしさや苛立ち、不甲斐なさをただ受け止めてくれる存在の大切さを感じるとともに、私たちは自分以外の人の痛みや苦しみは本当の意味ではわからないし、代わってあげられないけれど、わかろうと歩み寄ることはできる、手を差し伸べることはできる。そんなことを改めて考えさせてくれる映画だった。

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パニック障害 ~私の場合~

私がパニック障害と診断されたのは約7年前のこと。
当時は自律神経の乱れがひどく、起きているだけでしんどい時もあった。
幸い今は、再び電車通勤や旅行などができるまでに回復。
パニック障害についてや、発症当時の詳しいことなどは、良かったら過去の記事をどうぞ↓

ひとえにパニック障害といっても、人によって症状や苦手なシチュエーション、治療法は異なる。私は血の気が引いて気持ち悪くなったり倒れそうになったりはあるが、山添くんのように過呼吸になったことはないし、あのとんぷく薬も飲んだことがない。
治療法は主治医によるところも大きいと思う。私の主治医はあまり強い薬は出したがらなかった。1日1回抗うつ薬セルトラリン錠と、あとは呼吸法や考え方の悪い癖を変えるためのアドバイス
診断されてからずっと通い続けていたが、今年の春にようやく薬と通院を卒業した。
もう薬に頼らなくても大丈夫と思えたタイミングで自分から打診。以前から薬の量は減らしていてごく少量だったが、そこからさらに段階を踏んで減らしていった。
正直薬を飲んでいても、発作が起きる時は起きるのだ。
これは私個人の考えだが、結局は自律神経の乱れやメンタルに端を発しているわけだから、自律神経を整えたり、考え方の癖や認知の歪み(○○したら発作が起きるかもと考えてしまうこと)と向き合わなければならない。逃げちゃダメなんだと腹がすわった。この病はどこまでいっても私自身の問題なのだと。

重要なのは、発作が起きないことではなく、たとえ起きても適切に対処すること。
どんな人でも体調が優れない日はあるし、生きていれば良い時も悪い時もある。
正直今でもふと具合が悪くなったり、外食先でほとんど食べられなかったりする時もある。
無意識に苦手な場所を避けたり、やる前から厳しいかもと諦めたりすることも。
もちろんそれが出来なかったからといってダメなわけじゃない。できる範囲で楽しみや幸せを見つける方法もある。
そう思って、この何年か心に蓋をしてきた気がする。どこかで来世に期待しようとか思ったりもして。。

だけど、人生は一度きりだ。
私の人生をあたたかで実りあるものにできるのは、他の誰でもない私なのだ。
私が諦めてどうする。病気がとか、人の目がとか、そんなくだらない言い訳を考えてる暇があったら、心の声に従ってやりたいことをやり、生きたいように生きたい。
自分の人生を諦めずにめいいっぱい生きたい。
そのために自分を心身ともに変えたいと今取り組んでいるのが、サウナと水風呂だったり、ビリーズブートキャンプだったりするわけだけど。(ちょい極端では?´Д`)
いつか本当にこの病を克服したと言える時が来たら、その時はまた報告させてください。


さいごに、『夜明けのすべて』から心にしみた台詞を。
2人の会社が手掛けた移動式プラネタリウムでのラストシーン。藤沢さんのアナウンスで。

人間は古来から夜明けに希望を感じる生き物のようだ。
たしかに朝が存在しなければ、あらゆる生命は誕生しなかっただろう。
しかし夜が存在しなければ、地球の外の世界に気づくこともできなかっただろう。
夜がやってくるから、私たちは闇の向こうのとてつもない広がりを想像することができる。
・・・(略)・・・
地球が時速1700kmで自転している限り、夜も朝も等しく巡ってくる。そして、地球が時速11万kmで公転している限り、同じ夜や同じ朝は存在し得ない。
・・・(略)・・・
喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が動き続ける限り、必ず終わる。
そして、新しい夜明けがやってくる。