【HSP気質のある人が快適に生きるメソッド<前編>のつづき・・】
③人に頼る、本心に従って生きることを自分に許す
気づけば、歳を重ねるにつれ誰かに頼るという選択肢が無くなっていました。
人に頼まれたらなかなかNOと言えないのに、自分が頼むときは相手の状況や伝え方をあれこれ考えて逡巡し、結局自分でやってしまうことも。。
その結果、知らず知らず疲労を溜めこんだり、時にキャパオーバーで死にそうになったり・・。もうこれ以上は無理!という限界に達してようやく人にお願いするというパターンに陥りがちでした。。
頼みごとが苦手なHSPの人が上手に頼れるように、『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(以降「本書」と呼ぶ)著者の武田氏は、まず「頼る」という発想を持つことが重要だと言います。
洗濯機を例に挙げ、自分で洗えるからと全部手洗いする人がいないように、できないことだけでなく、できることも自分で全てやろうとせず、人に頼ること。大変なときだけでなく、日常的に頼ることがポイントなのだそうです。
この発想は自分には全く無かったので、とても新鮮でした。
相手も忙しそうなのに頼んだら悪いなとか、面倒くさいと思われたら嫌だなとか、これまでは相手の状況や気持ちを勝手に推測して腰が引けていたのですが、武田氏は相手の状況は相手にしかわからないので、一人であれこれ考えるよりもまず「○○してほしいけど、どうかな?」と聞いてみると良いと言います。
そうすると、自分には大変なことでも相手にはなんてことなかったり、忙しそうに見えても意外とできることだったりするのだとか。。
思えば、直接ではなく間接的に誰かに頼ることに対しても敏感になっていました。
例えば、仕事後に予定を入れたくても、忙しくて残業しないといけないかもしれないからと初めから予定を入れるのを諦めたり、体調がいまいちなのでリモートワークにしたくても、今日は電話取る人が少なさそうだからと出社したり。。誰かに言われたわけではないのに、自分で自分の本心に蓋をしてしまう・・。
「<思考・ストレス対処編①>実際に試して良かったこと」でも触れましたが、心身健やかに過ごす秘訣は、Peaple pleaser(ピープルプリーザー)※にならず、自分を大切にすることでした。
仕事が残っていても、スミマセン今日は予定があるので・・とたまには定時で帰る、電話のことを気にせずリモートワークにしたい時はさせてもらうなど、小さなわがままを自分に許すようにしたら、なんだか心が満たされ、不思議ととても優しい気持ちになれました。
自分の心がカラカラな状態では、本当の意味で誰かを満たしてあげることはできないのですね。
※Peaple pleaser:人を喜ばせる人という直訳からも想像できるように、頼まれたらノーと言えない人、お人好しなどの意味を持つ。相手を喜ばせることや人に認められることに存在意義を強く感じるタイプで、時に自分の感情を押し殺してまでそれをやってしまう一面がある。
④1人の時間やのんびり過ごす時間を大切にする
これまではストレスを感じると動画やネットの世界に入り込み、時が経つのを忘れて延々と好きなアイドルの情報を見続けたり、スリラーやホラー映画などのより強い刺激で嫌な記憶を上書きするというストロングな発散方法を取ってきました。
これはこれで気分転換はできるのですが、ただでさえストレスでダメージを受けている脳をさらに疲れさせてしまうことになるのでは?と最近になってようやく思い始めました。。
「隠れ疲労」※1の存在を知り、自分が思う以上に体は疲れているのかもしれないと思うようになったことも大きかったです。
実際に8月の1ヶ月早起きチャレンジで、途中何日か企画の趣旨に背いて堂々と早起きを放棄するという暴挙(通称「あえて」事件※2)に出てしまったのも、疲労を感じていたからでした。
これまでストレス発散のためにやっていたことが、逆に疲労を大きくして体にストレスを与えていたのでは?とハッとさせられました。
睡眠できちんと疲れをリセットできずに翌日を迎える。これを繰り返した先に待ち受けるのが流行り病や自律神経失調症をはじめとする様々な体の不具合です。
つまり心身の健康のためには、その日の疲れはその日のうちにリセットするのが望ましく、そういう意味ではそれでリセットできるだけの疲労度に留める必要があるのではないかと。。
気づけばいつも何か考え事をしていたり、ちょっとした空き時間でもスマホを見たりと、隙さえあればナチュラルに脳をこき使う日々を送ってきました。
特に感じる力が強く刺激を受けやすいHSPの人は人一倍疲れやすく、武田氏も「本書」の中で1人でゆっくりと心を休める時間が不可欠だと語っています。
際限なく動画やネットに没頭してしまわないためにも、風呂から上がったらスマホは見ない。
夜にストレス発散をするのではなく、朝早起きして行きたいと思っていたカフェや公園に出かけるなど、自分に適したストレス発散方法を日々模索しているところです。
※1 隠れ疲労:実際の疲労の度合いと自分で感じる疲労感の間にはズレがあり、目の前のことに没頭しやすかったり意欲や責任感が強かったりすると、脳のはたらき的に疲労感を感じなくなってしまうことがある。放置すれば過労死に繋がるケースも。
※2「あえて」事件:朝8時までに起きるという超ゆるいチャレンジ企画にもかかわらず、体の疲れが残っているからと"あえて"9時以降にアラームをセットし、実はチャレンジ精神の欠片もないことを露呈してしまった
自分の一番の味方は自分

HSPは決して直すべきマイナスではなく、その特性を理解し、それらとうまく付き合うことで、HSPの強みである繊細さや思慮深さを活かしながら、自分らしく肩の力を抜いて生きていくことができます。
武田氏によれば、そのために最も重要なことは、自分の本音を大切にすること。
自分の中に、自分の居場所をつくること。自分の味方でいること。
怖がらずに本当の自分を出せば、中には去っていく人もいるかもしれないけれど、本当に合う人と出会える可能性があります。
また自分を肯定できるようになれば、いたずらに周囲に振り回されずに済むのだそうです。
なんやかやと周囲の影響を受け、自分をおざなりにしてしまいがちなHSPの人にとっては、自分の中に何か確固たる軸のようなものを持つことがきっと大切なんですね。
私もこれからは自分の繊細で時に神経質な部分も丸ごと抱きしめ、どうしたら自分らしく心地良く居られるかということを新基準に、心の声に耳を傾けていこうと思います。