はじめに・・
正直、パニック障害になるまで自律神経について考えたことはありませんでした。
24時間365日、心臓が動き続けていること、新鮮な血液が全身を巡り続けていること、呼吸や体温調整、消化が適切に滞りなく行われていること、それら全ては当たり前だと思っていました。
けれど自律神経が乱れ、パニック発作や不眠、気分の落ち込みなど様々な症状が現れ、当たり前にできていたことができなくなって初めて、自律神経のはたらきの重要性に気づくことに。。
健康上何の不安もなく、普通に日常生活を送れることが、どれほどかけがえのないことだったのかを思い知らされました。
疲労の原因は自律神経のダメージ!?
長らく疲労の原因は、運動すると筋肉中に増える乳酸であるという説が有力でした。
しかし近年この説は否定され、疲労の原因は脳の神経細胞にダメージが蓄積するためであることが国内の研究でわかってきたそうです。
大阪市や大阪市立大学、食品・医薬品メーカーなどが進めている疲労に関する共同研究「疲労プロジェクト」などによって、そのメカニズムが解明されました。
自律神経系は活動時に活発になる交感神経と、夜間や安静時に活発になる副交感神経がセットになっており、例えば運動時には体温や心拍の調整をするため交感神経が活発に働きます。
すると神経細胞内に活性酸素が大量に発生して細胞にダメージを与えるのです。
これが、疲労の原因なのだそうです。(※1)
驚くことに、運動によって疲れるのは筋肉ではなく、実は脳(自律神経)だったのです。
東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生によれば、スクワットなどの筋肉をいためつけるような一部の激しい運動を除いて、自転車こぎやジョギングなどの有酸素運動を4時間やった程度では、筋肉はほとんどダメージを受けないそうです。
ダメージを受けた自律神経が、あたかも筋肉疲労を起こしたかのようなアラームを発して運動をやめさせようとするため、筋肉の疲労として感じられるのだとか。。(※2)

つまり運動以外においても、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、交感神経が優位な時間が極端に増えれば増えるほど、疲労は溜まっていくということに。。
長時間勤務や不規則な生活、睡眠不足、ストレスなど、交感神経と副交感神経のバランスを崩す要因はあちこちに転がっています。
自分の意思でコントロールできない自律神経。でもだからこそ、24時間365日休まずに働き続けられるのです。
私たちに出来ることは、そんな自律神経の働きに感謝し、疲弊してしまわないように労わることなのではないでしょうか。
※1:NIKKEI STYLE『体の疲労「脳が原因」 交感神経酷使、細胞にダメージ』
※2:日経Gooday『明らかになった疲労の正体!肉体疲労と頭の疲労は同じだった
疲労専門の医師が教える疲労解消の実践的ノウハウ【1】』
とにかく自律神経を疲弊させない<番外編>
梶本先生によれば、脳の疲労をとる唯一の方法は睡眠とのこと。
私もパニック障害を経て、睡眠の大切さを身をもって感じました。
これまで、運動や食事、ストレス対処など、心身の健康のために取り組んでいることを紹介してきましたが、極端な話、これら全ては良質な睡眠のためと言っても過言ではありません。
詳しくは<運動・呼吸編><睡眠編><食事・腸活編><思考・ストレス対処編>の記事を見ていただくとして、今回は<番外編>として、そちらで紹介しきれなかった「心身ともに健康であるために実際に試して良かったこと」を紹介していきます。

①温度調節しやすい服装を心がける
一般的にパニック障害は、温度と湿度が高くなる春や夏に発症しやすいと言われています。
また、満員電車や映画館など人いきれの中でも発作が起こりやすくなります。
かくいう私も暑すぎる夏や熱がこもっている場所はより苦手になりました。逆に涼しくて気持ちいいと感じる環境では、発作も起こらない気がします。
季節性とパニック障害の関係ははっきりわかっていないそうですが、温度変化が自律神経に与える影響は明白なようです。
自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生によれば(※3)、夏バテは自律神経が乱れてその総合力が落ちることが原因なのだそう。
特に、エアコンによって屋内外の気温差が7度以上あると自律神経が過剰に働いてしまい、過労につながる「寒暖差疲労」を起こすことも。。
私は夏場はサンダルで出勤する日もあるので、冷房でオフィスが寒い時のために羽織に加えて靴下も持参しています。逆に冬のオフィスは暖房が効きすぎて暑い時もあるので、カーディガンなど脱ぎ着しやすい服装を心がけています。
ちなみに、冬の電車ではコートを脱ぐ派です。(いきなり)
けっこう暖房効いてて、ヒートテックとか着てると暑くないですか?(え、プレ更年期?´Д`)
※3:大正健康ナビ、コラム『夏バテの原因は、自律神経の乱れ⁉自律神経を整えて健やかな秋を迎えよう』
②リラックスできるにおいを見つける
アロマセラピーという言葉があるように、特有のにおいはストレス解消に効果的とされています。
ストレスがかかると、交感神経が優位になり、体の緊張や強張りはマックスに。。
ベルガモットやラベンダーなどのアロマは鎮静効果があり、高ぶった交感神経を沈めて副交感神経を優位にする働きがあるのだとか。
おうちでお香やアロマディフューザーを使ったり、ハンカチやマスクにお気に入りの香りをつけて持ち歩いたりするのも良いと思います。
そんな私の一番リラックスできるにおいは、自分のにおいです。(は?)
「この変態が!」と罵る前に、どうか最後まで話を聞いてください。。
ブランケット症候群は聞いたことありますか?
『スヌーピー』に登場する、常に青い毛布を持ち歩いている男の子ライナスのように、お気に入りの毛布やぬいぐるみなどの特定のアイテムを持つことで精神的安定を保っている状態を指します。
それが無いと不安になったり夜眠れなかったり・・。またその触り心地やにおいも大切な要素であるため、洗濯するのを嫌がることも・・。
だいたいは幼児期に見られ、成長の過程でなくなっていくそうですが、中には大人になってもそれらの名残が見られるケースも。。
私の場合はタオルケットなのですが、洗いたてのにおいに徐々に自分のにおいが混ざり、触り心地もしっとりと柔らかくなっていくそれに顔を埋めると、不思議なほどリラックスできるんです。
はい、変態でした。すみません、認めます。。
さすがに今はライナスのように持ち歩いたり、夜にないと眠れないとかはありませんが、疲れてベッドに横たわってこのにおいを嗅ぐと、ふっと体の力が抜けて楽に呼吸できる気がします。
気を取り直してまとめると、、何でもいいから自分が心から安らぎを得られるにおいを知っておくと、自律神経を整える手助けになるのでおすすめだということです!

③疲れを感じる前にこまめに休憩
突然ですが、最近野球が好きでよく観ています。
観始めた当初は、先発投手の投球間隔が中6日であることや、1回しか投げないリリーフ投手も極力連投はさせないことに対して、素人ながら休ませ過ぎでは?と疑問に思っていました。
けれどこれだけ万全を期していても、肩や腕の疲労や炎症による怪我で投げられなくなることがあるのだと知り、抑えって時給いくらなんだよ~などとヤジっていた自分を殴りたくなりました。
あれだけの球を投げるということはそれだけの負荷がかかっているのだと知るとともに、意外と頭で考えるよりも私たちの体はダメージを受けているのかもしれないと気づくきっかけに。。
「隠れ疲労」という言葉をご存じですか?
梶本先生によれば(※4)、実際の疲労の度合いと自分で感じる疲労感の間にはズレがあるそうです。
疲労感をもたらすのは「疲労因子」と呼ばれるたんぱく質で、自律神経などの細胞がダメージを受けると、その疲労因子が発生し、大脳に情報が伝わって疲労を感じるようになっているとのこと。
しかし、仕事や運動などへの意欲や達成感が強かったりすると、脳のはたらき的にこの疲労感を感じなくなってしまうそうです。
目の前のことに没頭しやすかったり、責任感や使命感が強かったりする人ほど、こうした「隠れ疲労」を抱えやすく、放置すれば過労死に繋がるケースもあると言います。
思い返せば、パニック障害を発症する前の自分はまさにこういう状況でした。
山積みのタスクを朝から晩まで息つく暇もなくこなし、それでもなお、もっと頑張らなければ、結果を出さなければと常に焦燥感に駆られていました。
パニック発作が起きて初めて、ようやく自分が想像以上に疲れていたことに気づきました。
今思えば、あれは体からのSOSだったんですね。取り返しのつかないことになる前に気づけて、私はラッキーだったのかもしれません。
梶本先生いわく、飽きるという感覚は脳が疲労し始めているサインとのこと。
飽きてきたら、あともうひと頑張りなどと自分を追い込まず、サクッと休憩を取る方が健康面はもちろん、もしかしたら効率面でも良いのかもしれません。
私は没頭しやすい性格なので、仕事の時はなるべく1時間に1回は席を立つと決めて(同僚からは頻尿だと思われてるかもですが・・)、飽きを感じる前に休むよう心がけています。
※4:NIKKEI STYLE『体の疲労「脳が原因」 交感神経酷使、細胞にダメージ』
④体調のことを隠さずに伝える
これはリラックスできるにおいを見つけるということにも通じるのですが、自分が安心できる居場所を確保するということです。
精神疾患や自律神経系の不調は目に見えず、本人もなんとなく言い出しづらかったりします。
けれど、隠そうとすればするほど、緊張や不安で交感神経が優位になり、不調が現れやすくなってしまうというのがこれらの厄介なところ。。
自身の経験からも、本当に具合が悪い時に、そうではないふりをすることほどしんどいことはないと感じます。
もちろん、会う人すべてに伝える必要はありません。
また、どこまで話すかも人によって違ってよいと思います。
家族や親しい人など自分が信頼できる人に打ち明けることで、彼らの前では自分のコンディションを偽らずにすみますし、いざという時に力になってくれたりするのです。
何より話すことで、不思議と肩の荷が下りたような楽な気持ちになれます。
私は家族と親しい間柄の人、今の職場の上司には体調について伝えています。
ただ正直今の職場であまり詳しく話すつもりはないので、上司には過去に自律神経系の不調があって・・とやんわり伝えるにとどめています。
でもそうしておくことで、いざ体調が優れない時に休んだり、仕事量を調整してもらったりしやすくなります。。
うまくいかない日はきっとある

どんなに健康に良い生活を意識していても不意に体調を崩してしまったり、そうした生活を送るモチベーション自体保つことが難しい日もきっとあるでしょう。
けれど、それで良いと思うのです。
だって、人間だもの。(堂々とパクる)
どんな健康法も100%健康になれる保証なんてないし、自律神経に良かろうが悪かろうがなーんにもやりたくない時だってある。
そんな時は堂々と、何もやらない、好きに過ごすと決めてしまいましょう。
一日中寝るでも、好きな動画を見つくすでも、ゲームでも漫画でも何でも、気の赴くままに過ごそう。暴飲暴食だっていいじゃない。つまづいたっていいじゃない、人間だもの。(しつこい)
またやってしまった、自分はやっぱり駄目なやつだ・・などと落ち込んだり罪悪感を覚えたりしないで、最大限に自分を甘やかしましょう。
人生は山あり谷あり。生きていても何も良いことないとか、いっそ死にたいとか思う日があっても、絶対にいつかまた前向きになれる瞬間はやってくるから。。(これはマジ)
一喜一憂せず、周りに流され過ぎず、ドーンと構えていきまっしょい!